逆転。
バイトが終り旅館まで帰る時に決まってコンビニに立ち寄る。皆んなビールを買ったり漫画を買ったり思い思いに買い物をする。
僕は最近車から降りずに待っていた。
無駄遣いするお金がなかったのだ。
キャバ通いの方が無駄遣いだと思うが…
僕が乗る移動車はだいたいいつも5~6人乗っているのだが、もう1人最近帰りのコンビニで車から降りない奴がいた…
僕『降りないの?』
アキラ『あ、うん。金無くてさ(笑)』
僕『オレも(笑)』
アキラ『多分さぁ。同じ理由で金無いよね(笑)?』
僕『アハハ。そだね(笑)』
嬉しかった。仲間がいると思うと安心した。
アキラは同部屋だがバイト中は別々だったし最近はあまり話をしていなかった。
お互い密かにキャバ通いしていたが恥ずかしさからか妙なプライドからなのかキャバ通いの話をした事もなかった。
アキラ『ちょっと良いこと思いついたんだけどさ。』
僕『えっ?なになに??』
アキラ『今日メシ終わったら外出よう』
僕『わかった』
5人部屋なので部屋で話せない事なんだとピンときた。
夜ご飯を食べた後、二人で旅館近くの居酒屋に行った。
僕『っで良いことって何??』
アキラ『二人で給料の前借りしない?』
僕『そんな事できるの?』
アキラ『多分大丈夫。沖縄で現地の子が松岡さんに頼んでるの見てさ。』
僕『それで?』
アキラ『前借りしてたよ。松岡さんにお前も前借りするなら早めに言えよ。急に言われても困る。俺の立替だからなって言ってた。』
僕『すみませーん!生おかわりと牛スジ煮込み2つ』
アキラ『いやいや(笑)まだ前借りしてないから(笑)』
僕は急に気前よくなった。
もし前借りできたら今月またY店に飲みにいける。
給料日まであと1週間ちょっとだったが希望が見えてきた。
アキラ『いくら前借りする?』
僕『たくさんだと後がキツいよね?』
アキラ『松岡さんがいくら出すかもあるよね?』
二人で色々考えたが少なかったからパチンコに行って増やそうという案でまとまった。
そうと決まれば僕らは旅館に帰った。
部屋には松岡さんともう1人いたが僕らが帰ってきたら洗濯に出掛けた。
チャンスだ。
アキラ『あのぉ。松岡さん…』
松岡さん『どうした?二人揃って。』
僕『じつは…給料の…』
そこまで言ったか言わないくらいで松岡さんは
松岡さん『前借りだろ?最近お前らコンビニ降りないもんな(笑)』
松岡さんは財布を開け始めた。
松岡さん『3万ずつでいいか?』
僕・アキラ『はいっ!』
松岡さん『パチンコも姉ちゃんも程ほどにな!』
バレているのか…?
一瞬ひきつってしまったが僕らは給料の前借りに成功した。3万あればキャバクラに行く事が出来るが僕らは明日パチンコ屋に行こうと話した。
欲が出たのだ。
次の日。
前借りしたお金だ。負けたらどうしようと不安だったが僕は千円で当たりを引いて連チャン。
7万円も勝った。
アキラは僕の所に度々やって来た。
『1万負けてる…』
『オレダメかも…』
アキラが来なくなったので きっと負けていると思い。お金を貸そうと思っていた。
出してる…
こういう時はたいてい二人とも負けるか1人だけ勝つものだが運よく二人共 勝つ事が出来た。
僕『やったじゃん!良かったね♪』
アキラ『焦った(笑)とりあえずお祝いしよう(笑)』
僕らはまた旅館近くの居酒屋に行った。
アキラ『タカちゃんさ。Y店に通ってるんでしょ?』
吹いた(笑)
僕『気づいてたんだ(笑)』
アキラ『雪乃ちゃんでしょ?』
僕『あぁ。うん…』
アキラ『オレ今違う店に行ってるんだけどさ。今度一緒に行かない?』
僕『いいね~!!行きたい♪』
思わぬお金が入りお酒も入りアキラにキャバクラ通いの話を打ち明けてスッキリした。